すべてのカテゴリ » 暮らし » 家事・住宅 » 新築・増改築

質問

終了

高台移転は大変ならば、明治三陸津波の浸水域に再び建設すべきでしょうか。


“想定外”ではなかった東日本大震災
隈本邦彦

 科学ジャーナリズムの世界に長く身を置いた私にとって、今回の東日本大震災の報道で強い違和感を感じるのが、メディア各社がM9.0の巨大地震とそれに伴う大津波を「想定外」と報じていることだ。
 確かに地震後、多くの地震学者や原子力発電の専門家は「想定を上回る規模の災害」と発言している。しかしそれを無批判に伝えるだけでは、ジャーナリズムの名に値しないだろう。実は、今回各地を襲った大津波も、福島第一原発で進行しつつある惨状も、過去の災害の歴史や最新の科学データを謙虚に受け止めていれば、当然「想定」されてしかるべきものであったのだ。
 いくつか根拠を示そう。
 まず三陸地方の大津波。防潮堤を乗り越えて襲ってくる津波に対して「未曾有の」「想定外の」といった表現がめだった。しかしそれは若い記者さんたちが知らないだけなのだ。
 今回の三陸の被災地の多くは、いまから115年前に同地方を襲った明治三陸津波(1896年)の浸水地域とかなり重なっている。そのときの犠牲者の数は2万2000人。当時の日本の人口はいまの3分の1くらいだったのだからその凄まじさがわかる。ところが、その後に起きた昭和三陸津波やチリ地震津波の浸水域は明治三陸津波に比べれば小さかったため、115年の間に、かつての浸水域内に次第に家が建ち新たな町並みが出来上がっていった。岩手県釜石市では警察署も消防署も明治三陸津波の浸水域のど真ん中に建っているほどである。“天災は忘れた頃にやってくる”と述べたとされる寺田寅彦は、昭和9年の随筆の中で「少なくも一国の為政の枢機に参与する人々だけは、この健忘症に対する診療を常々怠らないようにしてもらいたいと思う次第である」と書いている。つまり仮に一般市民が過去の災害を忘れて(あるいは知らずに)危険な場所に家を建てようとするのは仕方ないとしても、行政や専門家がそれを止めなければ悲惨な大災害が繰り返されることになると警告していたのだ。今回の津波をあっさり「想定外」といってしまっては、明治の大津波で亡くなった2万2000人の犠牲者に対してあまりに申し訳ない。
  次に、福島原発を襲った大津波。こちらについても電力会社や学者たちは口を揃えて「想定外だった」という。しかし、いまから1100年余り前の平安時代に東北沿岸を襲った貞観地震(869年)による津波は、おそらく今回に匹敵する規模だったことが最近の研究で明らかにされている。太平洋プレートが日本列島の下に継続的に潜り込みエネルギーを蓄積しているこの地域では、過去に起きた事は繰り返し起きる可能性が十分にある。専門家がそれを想定しないということは、あえて想定しなかったと考えるのが普通である。
 確かに貞観地震は、「津波来襲し 海水 城下に至り 溺死者1000」との古文書の記述や各地の伝承が残っているだけでその実態は謎に包まれていた。ところがここ20年ほどで急速に進歩した津波考古学の研究により、その正体は少なくともM8.4以上の超巨大地震であり、仙台平野から福島県にかけて、海岸線から数キロ内陸にまで津波が到達した(それだけ高く勢いのある津波だった)ことが明らかになってきていたのだ。産業技術総合研究所や東北大学などの研究者が、貞観地震から1100年余りを経て、近い将来同じような巨大津波発生の危険を具体的に指摘していた。改めて2009年6月の総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の福島原発の安全性に関する議事録をみると「(設計上想定する地震として)なぜ貞観地震が考慮されていないのか」と委員である研究者が指摘している。しかしその後、効果的な大津波対策はとられなかった。
 さらに2007年の新潟県中越沖地震の教訓も十分に生かされなかった。あの地震による柏崎刈羽原発の被害は、地震で原子炉そのものは壊れなくても、周辺設備を含めた巨大システムである原発は、その途中のどこがやられても機能不全に陥る可能性があることを我々に教えてくれていた。今回、ごく普通のディーゼル発電機(非常用発電機)の被害が、地震の揺れに耐えたはずの原子炉建屋における水蒸気爆発、放射能漏れへとつながっていったことは、過去の災害に学ばない人間への、再度の警告と受けとめるべきだろう。
 とにかく「未曾有の」「想定外の」といった形容詞を連発する事実を見誤った報道はすぐにやめてほしい。次の大災害を予防するためには、そうした冷徹で思慮深いジャーナリストの眼が不可欠だと思うからだ。

隈本邦彦(元NHK記者 江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授、名古屋大学減災連携研究センター客員教授) http://www.tsunamachimitakai.com/pen/04_003.html

  • 質問者:さるもん
  • 質問日時:2011-07-10 22:57:59
  • 0

そんな所に家を建てちゃいけません、先人のここから下に家を建てちゃいけないって言ういいつけを守った集落は皆さん元気にしています。
同じあやまちは繰り返してはいけないんです。
「安らかにお眠りください。 私たちは二度とこの過ちは繰り返しませんから」と原爆慰霊碑に刻まれていますが、これは今回の東日本大震災で不幸にも被害に遭われた方すべてに私たちが誓う言葉でもあると思います。
だから同じ被害を2度と出してはいけません。
防潮堤に対しても、新しい街を作るにしても、勿論原発事故に対しても同じです。

  • 回答者:匿名希望 (質問から17時間後)
  • 0
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

並び替え:

できる限りの対策をとってほしいです。

  • 回答者:匿名希望 (質問から24時間後)
  • 0
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

いい加減に学習して、高台に住まなければ。

過去の例を見ていながら同じ失敗を繰り返すなら、ただのバカです。

  • 回答者:匿名 (質問から13時間後)
  • 0
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

高台にするよりないと思います。

  • 回答者:AA (質問から7時間後)
  • 0
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

いいえ、やはり何としても高台にすべきですよね。

  • 回答者:匿名 (質問から2時間後)
  • 0
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

海岸側に水産加工場、農地。
高台に住宅にするしかないと思います。
それでも死ぬ人は少し減るだけで
大打撃でしょうが。

  • 回答者:匿名 (質問から2時間後)
  • 0
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

海岸性沿いに作るしか無いと思います、まあ住宅地は海岸から2Km以上とすることや、学校を高台のそばにするが4階建て以上にして耐震強度を上げておくなどすれば良いとおもいます。
想定外は想定外なのでしょう、想定が震度5までで、津波が5m以下なのですから。3+2mの防潮堤にした訳です。

  • 回答者:匿名 (質問から27分後)
  • 0
この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

関連する質問・相談

Sooda!からのお知らせ

一覧を見る