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質問

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発泡スチロールや魔法瓶のように断熱にすぐれたものがありますが、どのようなものなのですか。

  • 質問者:nanda
  • 質問日時:2009-03-18 12:29:11
  • 0

回答してくれたみんなへのお礼

たいへん勉強になりました。ありがとうございます。

ご質問の中に全く別の原理の断熱素材が入っていますので、分けてお話しします。

 まず、発泡スチロールなどの断熱素材です。

 モノが熱をどれだけ伝えやすいかは、その素材そのものの性質で決まっていて、一般的に、個体 → 液体 → 気体 の順で伝えにくくなります。
 熱は、モノを作っているおおもとのつぶつぶ(分子や原子)が振動する強さだということをまず考えてください。すると、熱が伝わるということは振動を伝えることだということになります。振動を伝えるには、しっかりと手をつないで振ればよく伝わるし、緩くつないでいれば伝わりにくいですね。ましてや、手を離していたとすると、一生懸命振って風を送って相手に伝えるくらいしかできません。じつは、これが、固体、液体、気体の状態を表しています。つまり、分子や原子同士がしっかりとくっついているほど熱(振動)が伝わりやすいということです。

 さて発泡スチロールですが、発泡という語句に注目してください。これは、あの板の中が非常に小さな気泡の詰まったスチロール樹脂(プラスチック)であることを示しています。スチロールというプラスチックそのものは、板にもできますが、そのままではプラスチックの器にみそ汁を入れたとき程度の熱の伝わり方をします。しかし、小さな泡をたくさん含んだ状態のビーズを作り、それを固めて板にすると、見た目は板でも中は大量の空気の粒が別々の部屋に封じ込められた構造になっています。そうなると、板の反対側を熱くしても、その熱は泡の表面を覆うとても薄いプラスチックの膜の表面をくねくねと際限なく渡り歩いて反対側に行かなくてはなりません。空気のつぶつぶももちろん熱は伝えるのですが、先ほど書いたように空気はもともと熱を伝えにくいので、つぶつぶの壁から中の空気へ、そして隣の空気の粒へという熱の伝わり方も、たいへん手間のかかる伝達です。
 したがって、発泡素材は、大量の空気を別々の部屋に閉じこめてあるために熱が伝わりにくいということがおわかりいただけると思います。
 ちなみに、スポンジも空気を含んでいますが、こちらは空気が通り抜ける構造ですね。そのため、発泡素材ほどには断熱がよくありません。柔らかいスポンジほど性能はよくないのです。ましてや、水がしみ込んでしまっては、水が熱を伝えてしまうので何の意味もなくなってしまいます。
 つまり、空気を封じ込めた粒がたくさんあるという構造が需要なのです。

 同じような現象で、家の壁の中に使うグラスウールは、スポンジのように空気は通しますが、繊維がとても細かく、中に多量の空気を蓄えているので、燃えない性質とあわせて壁断熱につかわれています。これは、毛糸のセーターが空気を蓄えているので暖かいのと同じことです。

 さてここまでが発泡スチロールなどの空気の断熱性能を使った素材です。

 つぎに、魔法瓶になります。
 こちらは、原理が全く違います。
 さきほど、空気は熱を比較的伝えにくいといいましたが、もっと伝えにくくしたいときはどうしたらよいでしょう? それは、振動を伝えるモノを無くしてしまうことです。
つまり、真空にしてしまうこと。
 宇宙空間では、空間自体熱を伝えません。なぜなら、振動を伝えてくれる分子が無いからです。
 これを利用したのが魔法瓶で、2重の壁を作ってその内部を真空にしてしまうという方法を使っています。このようにすると、一方の壁を熱くしても、その熱は真空を伝われないので、壁を厚くするだけで、反対側に伝わらないのです。ただし、壁を作っているガラスやステンレスといった素材は熱を伝えますから、熱くなった部分から熱が壁づたいに反対側まで伝わります。ただ、その間には周りの空気や容器の壁にも熱が分散していくので、与えた熱が反対側に届くのはだいぶ少なくなってしまうのです。容積が大きければ大きいほど、反対側に伝わりにくくなるというわけです。
 魔法瓶でも決して永遠に熱が逃げないわけではないのはご存じの通りですが、理屈はこういうことです。

 この仕組みをうまく使った断熱材として現在、冷蔵庫などにたくさん使われているのが真空断熱パネルというモノで、これは、ガラスやステンレスではなく、プラスチックの薄い袋にすかすかのプラスチックやグラスウールを詰めて空気を抜き、中を真空状態に近づけることで、板全体を魔法瓶の壁のようにしているモノです。もちろん、中には空気がないとはいえ、プラスチックやガラスが入っているので真空そのものよりは熱を通しますが、上で述べた発泡スチロールに比べて、同じ厚さで10倍近くの断熱性能があります。そのおかげで、冷蔵庫の壁を薄くしても冷却性能が落ちない高性能冷蔵庫が普及したのです。

以上が、今使われている断熱材料の説明です。

ご参考までに

この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。

並び替え:

発泡スチロールは、空気の層を作ることで、熱を伝わりにくく(逃げにくく)している。
段ボール、セータ(服)なんかがこれに該当しますね。

魔法瓶は、容器を真空状態にし、熱を伝えるものを無くし、熱を逃げないようにしている。
最新冷蔵庫の断熱材が同じ仕組みです。

  • 回答者:匿名希望 (質問から2時間後)
  • 0
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参考になり、満足しました。回答ありがとうございました。

梱包用のプチプチもいいですよ。
間に空気の層があるものは断熱効果があります。

  • 回答者:匿名希望 (質問から23分後)
  • 0
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参考になりました。回答ありがとうございました。

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