地方百貨店に勤務しております。
いやはや、耳の痛い質問ではありますね。
私の場合、百貨店の売場経験は食料品売場だけです。質問者様がどちらの売場で働いておられるのかわかりませんので、とりあえず私の経験の中での回答になります。尚且つ、私は自分で申し上げるのも何ですけど、百貨店の人間としては、ちょっと特殊な考え方をしているかもしれませんので、それを踏まえてお読みいただければ、と思います。
まず、仰っておられるように、あなたを雇用しているのは百貨店ではなく、メーカーであることは承知しています。百貨店との力関係によって理不尽さを甘受している、というお気持ちも、私個人としては理解しているつもりです。食品売場って、小さなお取引先が多いですから、アパレル関係のメーカーに比べて、力関係はもっと歴然としています。
ただ、私は「出店させてやっている」という感覚は持っておりませんでした。むしろ「出店していただいている」という感覚が強いほうでした(この辺りが百貨店の人間らしくない、と言われるところですが・・・)。
そんな私でも、メーカーの応援社員の皆さんとの対立は、そりゃありました。
私が担当していたのは生鮮食料品・・・つまり、青果・精肉・鮮魚です。集中レジ方式の売場ですので、レジの真ん前にある野菜コーナーは、曜日や時間帯によってはレジ待ちのお客様で売場自体が麻痺してしまうこともありました。
そんなとき、お客様の誘導は八百屋のにーちゃん達にお願いしました。
「こんな状態じゃ、商売になんねぇよ。俺たちは誘導することが仕事じゃねえんだぜ」
と激怒されたこともあります。
これ、確かに契約に謳われていません。でも、やってちょーだい、とお願いしました。
それは「君たちが誘導をすることによって、売場が機能するようになるからお願いしているんだよ。無論、俺だって売場に立って、誘導はするさ。レジの人手が足らなければレジ操作だってやってる。生鮮ゾーン全体を見て、繁忙時には一番手の足らないところに入っているでしょ?だから、君たちも協力してよ。契約外だからやりません、ってことになれば、結局売るときの効率が悪くなって、困るのはキミたちでしょ?」という説得の仕方です。この言い方が『上から目線』と言われれば、もうどうしようもないんですけど、基本的にはこれで納得していただいていたつもりだし、人事異動で売場を離れることになったとき、彼らとは「本音で言い合うことが出来て良かった」と送り出していただけました。
ご指摘のような社員・・・特に管理職に「命令したらやって当然」みたいな、力関係をチラつかせる方がいるのは否定しません。ただ、私がやっていたときに感じたのは、メーカーさん側にも、そういう側面を持つかたはおいでになりました。それは、現場の販売員ではなく、メーカーさんのエリアマネジャーとか本社の商品本部の方・・・とかです。「ウチが出店してやているんだ」みたいな態度の方もおいでになります。
結局、現場を知らない上層部の方たちに関しては、百貨店側にもメーカー側にも、そうた人種はおられるわけでして、しわ寄せが末端にいっちゃってるのだろうな、と思います。
とりとめのない話になってきてしまいましたが、百貨店側にもまともな現場職員はいると思っていますし、メーカーからの応援社員さんのことを考えて行動する人間もいるんだよ(数は少ないかもしれないけど・・・)ということだけ、申し上げておきたいですね。
===補足===
コメントいただきましてありがとうございます。
思うに、私が働く百貨店では、私のような考え方の社員は、私だけというわけでもありません。特に食品は、ご指摘のとおり「持ちつ、持たれつ」な側面が多いですよ。
思うに、私のところは大手さんと違って一地方百貨店に過ぎませんので、メーカーさんとの力関係で申し上げれば、むしろメーカーさんの意向が強く通りやすいほうだと思います。アパレル大手とか、ヴィトンのようなスーパーブランドだと、こちらが折れざるを得ないケースも多々あり、バイヤーや部長職あたりになると、メーカーとの交渉の矢面に立つ事になりますから、風当たりも相当なものです。そのストレスが現場の販売員さんに行ってる部分も少なからずあるかもしれませんね。