このご質問での「仮説」には、やや無理がありますが、あえてパラメータを単純化してみるとB社ということになります。
A社が最低賃金法で定められた都道府県別最低賃金を超える賃金を支給していたとすると、その3倍もの賃金を支払うことができるB社の付加価値総額は、A社のそれの3倍以上と想定できます。つまり、かなりの好業績企業ということになります。
B社が、不法行為や公序良俗に反する営業行為をしていない、という前提に立てば(かつてネズミ講的業務をしていた会社が営業に従事していた従業員に月額200万円越える給与を支給していました)、B社は顧客ないし社会から評価される商品・サービスを提供していることになりますし、従業員にも労働条件・就労条件・福利厚生等で良好な待遇を付与しているから高い業績をあげられたということになります。
社会から評価されない商品・サービスを提供し、従業員の処遇も劣悪であれば、中・長期的には企業の業績は悪化するのが一般的です。
また、企業の風土が悪く、人間関係も良好でなければ、結果として当該企業の業績は悪化し、結局は高い賃金等の処遇を提供することは困難になります。
賃金等の処遇が良好で、なおかつ高い業績をあげている企業の文化・風土、職場環境、職場風土は、多くの場合、相対的に良好であると思われます。
職場の人間関係を良好なものにすることすらできない経営者のマネジメント力は、極めて低いと言わねばなりませんし、そのような企業の存続は困難です。A社のような企業は少なくありませんが、人間関係の良い会社=好業績の会社という関係式は成り立ちません。人間関係が良好ではあるが処遇水準の悪い企業は、一般に労働生産性が悪く、真に「人を大切にしている」企業とは言えないのではないでしょうか。
もっとも、昨年度、この国で最も申告所得額が高かったT社について、『我が亡き後に洪水は来たれり』というルポルタージュ(文庫本になっています)が書かれていますから、好業績=職場環境の良い会社というわけではありません。