温泉の世界は複雑な制度とそのあいまいな運用に加え、
温泉事業者、学者(自称含)、温泉通(自称含)などが勝手に発信する
玉石混淆の情報の坩堝です。
したがってここでは環境省の公式見解に絞ってお話しします。
まず、効果については、一定程度国もその効用を認めています。
昭和57年環境庁通知により、温泉の「一般的」適応症及び
該当成分を一定基準以上含むものに関する泉質を有する場合の
「泉質別」適応症が示されています。
また昭和50年環境庁通知では「温泉の療養効果は、近代医学においても
高く評価されて」おり「飲用についても多くの医治効用が期待できるところである。」
と、俗説や個人的解釈とは一線を画しつつ、その効用を認めています。
ただし不適切な利用による障害を防ぐため「できうる限り医師の適切な指導の下に
行われること」を求めています。
さらに「本基準は、一ヶ月程度温泉地に滞在する通常一般の温泉利用者を対象として
設定されたものである」ともうたっていることから
基本的に一泊二日程度の利用は想定していないようです。
(転地療養や農閑期の湯治を想定していたのではないでしょうか)
しかし前述昭和57年通知では、こうも言っています。
「…温泉の医治効用は、その温度その他の物理的因子、化学的成分、温泉地の地勢、
気候、利用者の生活状態の変化その他諸般の総合作用に対する生体反応によるもので、温泉の成分のみによって各温泉の効用を確定することは困難である…」
この一文がもっとも本質を表していると考えます。
なお、温泉を公共の浴用または飲用に用いる場合、具体的な適応症及び禁忌症は
温泉法14条及び施行規則6条により営業者に掲示が義務付けられています。
されていないところは不誠実な営業者ですから、利用しないことをお勧めします。