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質問

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物が見える仕組みについて、特に光から神経への入力における作用について、ご存知の方がいらしたら教えてください。
波長(エネルギーバンド)の異なる光子をどうやって選択的に神経に伝えるのかと、光子をどうやって神経で取り込めるのかと言う点が、分からずにいます。

  • 質問者:009
  • 質問日時:2009-03-18 09:09:15
  • 1

少し長くなりますが、お付き合い下さい。
これでもかなり簡単めだと思います。分子レベルまでもっと詳しく知りたい場合は、お知らせ下さい。

光は角膜⇒水晶体⇒硝子体と通過して網膜に到達します。
網膜は順に、視神経を構成する神経節細胞⇒連絡神経細胞⇒視細胞⇒色素細胞という風に並んでいます。
まず光は奥の方の視細胞に到達します。
視細胞には光受容体として桿体細胞と錐体細胞というものが存在しています。
錐体細胞は網膜の中央付近にのみ存在し、光が強い時にのみ興奮して、それぞれ担当の細胞が波長を感知して、緑・赤・青の3色を認識します(暗い所では物に色が付いて見えないのはこのためです)。色は興奮したそれぞれの細胞の数や頻度によって、いわばパレットで混ぜ合わせるように様々な色を判別しています。結局は光の三原色ですね。
桿体細胞は網膜全体に分布していて、光子1個でも反応します(夜でもなんとなく物が見れる所以です)。その代わり、色は認識できない細胞です。桿体細胞にはロドプシンという感光物質が存在します。ロドプシン=オプシン+レチナール(ビタミンAの誘導体)の結合した物質で、光を受け取るとレチノールが変化(11-シス型レチナールから全トランス型レチナールへ)することで興奮が始まります。興奮した細胞の数や興奮頻度が光の強さを感知することになります。*ビタミンAの不足で、夜盲症という病気になります*
錐体細胞や桿体細胞で生じた興奮は逆行するようにして、連絡神経細胞を経由して、神経節細胞まで到達して、神経節細胞の軸索である視神経を通って、脳へと向かいます(詳しく言うと、第1脳神経核⇒外側膝状体⇒後頭葉)。

このようにして色や、光の強さを認識しています。
暗いところから明るいところに出ると目がくらむのは、感度の良いレチノールが一気に興奮するため、かなり強い光として脳に伝わります。
この程度で良いでしょうか?視神経については、実は興奮の起こり方も他の細胞と違い(興奮というものが普通の細胞と真逆の反応で起こっているんです)、面白いのですが、話が長くなりすぎますので、とりあえず、この程度にしました。
参考して下さい^^

===補足===
真逆の反応について。
通常、細胞膜の透過性はKイオンが非常に高くなっています(正確に言うと、細胞膜にKイオンチャネルというタンパク質がたくさん発現していてKイオンが自由に通過できるようになっています)。また、細胞膜にはNa-Kポンプといって、細胞の外側にNaイオンを汲み出していて、細胞の内側にKイオンを汲み入れています。
濃度勾配を考えると、Kイオンは細胞膜の内側で濃度が高くされているので、細胞の外に拡散しようとしますが、電位差を考えるとKイオンは外側から内側に拡散しようとします。この2つが釣り合うところで平衡状態になるのですが、平衡状態は細胞内が細胞外を基準にしてマイナスになっています。(もちろんNaイオンや他のイオンによる影響も多少あるのですが、Kイオンが圧倒的に透過性が高いため、細胞膜の電位はほぼKイオンで決まります。)
さて、例えばアセチルコリンのような物質が受容体に結合すると細胞膜にあるNaイオンチャネルを開きます(Clイオンチャネルなどの場合もあります)。この事でNaイオンは細胞内に一気に流入するため、電位が逆転します。この電位の変化は、電位依存性Naイオンチャネルを開き、電位の変化(活動電位)が細胞膜をどんどん伝わっていきます。結果、活動電位が筋肉などに伝わり、結果的に収縮をさせます。つまり、言いたかったことは、基本的に、活動電位が発生することが、興奮を伝えるということなのです。
その逆が視細胞の桿体細胞です。これは妙な細胞で、光が来ない時には細胞膜のNaイオンの透過性が非常に高いのです。光が来て、レチナールが変化すると、そのシグナルが伝わった結果、Naチャネルが閉じて、Naイオンの透過性が下がるのです。つまり、細胞内が細胞外に比べてプラスになったこと(通常では興奮しなくなったということ)を情報として伝えているのです。こういった細胞は視細胞でしか見られません。
すみません、マニアックな話で><
生物の体というのは不思議なものです。まだまだ、掘り下げればいくらでも情報はあります。キーワードだけ書いておきますので、もし興味があれば、調べてみて下さい^^
ロドプシンは細胞膜存在する3量体Gタンパク質(トランデューシン)⇒cGMP(サイクリックジーエムピー)分解酵素のホスホジエステラーゼ⇒cGMPの分解⇒Naイオン閉鎖(過分極)

この回答の満足度
  
とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。
お礼コメント

大変、分かり易い説明を有難う御座いました。分光器になっている訳でもなく、色素フィルターで弁別するにも無理がある気がしていましたが、この点はほとんど印画紙と同じなのですね。光子の受け取り方も分かり、大変満足していますが、お話が楽しくなっているので、「真逆の反応」以降についても解説願えると、幸甚に御座います。
【追加】
大変、興味深い知見をお示しいただき、感謝しています。このところ、体の仕組みについて、改めて何も知らないことに気づき興味を持ち始めていました。ところが、門外漢の私には、ノイズだらけの情報から、なかなかフィルタリングできずにいて質問させて頂きました。貴重なキーワードにも感謝致します。色々と有難う御座いました。

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