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質問

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注射剤には、大まかに言って、『静脈投与』のものと、『筋肉注射』のものがありますが、製薬会社が、どちらにするか決める時、どうやって決まるのですか?

どちらの経路で使うかを決めるのは、その薬の性質と、患者さんにどうやって効果を与えたいかによって決まるのです。

 注射の経路は、普通、皮内→皮下→筋肉→動・静脈内となりますが、即効性を期待するクスリは、右に行くほど効果が早いので、なるべく静注(動脈は特殊例)にしたいのです。
 ところが、早く効くということは、早く肝臓で代謝されてなくなっていくことも意味しています。つまり、持続性が低いという特性につながるわけです。
 また、注射薬の性質上、アルカリ度 or 酸性度が強いとか、粘性が高いとか、血管内に直接入れるとひどい痛みや血管障害、組織障害を起こす可能性のあるものは、静注できないですよね。ステロイド剤はこの類になります。また、ずうーっとむかしのBCG接種も筋注でしたが、ワクチンの接種も、持続的に血中に移行させる必要があるのでやはり筋注が多いですね。なかには皮下注射でも良いものもあるのですが、皮下と特定すると技術がいるのですよ、ほんとのところ。皮内注射も特殊例で、ツベルクリン接種くらいしか知りませんし、量が入れられないのでごく少数ですね。

 というわけで、筋注薬は、おおざっぱにいうとなるべく早く効いてもらって、しかも薬効が持続して欲しいタイプのものになっています。また、静注では早く効き過ぎて危険な薬物でも、筋注にすると拡散が遅いので、静注では不可能な投与量を一回で注射することができるという長所もあります。
 入院患者さんに投与するのならば、同じ薬効成分のものでも、低濃度で輸液と一緒に連続注入できますよね。それが可能なら筋注しなくて済むので、中には筋注と静注の2本柱のクスリもあるわけです。

 そういえば、むかしは、体力減衰時に、B群色の真っ黄色な濃いビタミン剤を、ふっといガラスシリンジで尻にブチューッというのもありましたね。

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