大阪府の出資法人、役員報酬開示義務付けへ
大阪府から公金を受けている出資法人について、橋下徹知事が役員の個別報酬開示を義務づける条例案を策定するよう、庁内に指示していることがわかった。
開示を拒んだ場合は公金支出を取りやめる内容となる見込みで、実現すれば全国で初めて。9月の定例府議会への提案を目指す。ただ、プライバシー保護などを理由に法人側の反発も予想され、論議を呼びそうだ。
府は、約50の出資法人に対して年間計約100億円を補助金や委託金として投入。これら法人には、府国際交流財団、府住宅供給公社などの外郭団体のほか、国や他の自治体とともに出資する関西空港会社、阪神高速道路会社といった株式会社も含まれる。
橋下知事は昨年末以降、「公金が入っている以上、個別報酬の開示を求めるのが府民感覚。嫌なら公金を受けなければいい」などと発言。役員全員の報酬総額しか公表していなかった関空会社に個別開示を迫り、同社は今年1月、福島伸一社長が2425万円(2009年度)などと個別報酬額を明らかにした。
こうした状況を受け府は3月、各出資法人に役員報酬を自主公表するよう要請した。しかし、5月末時点で何らかの公表に応じたのは29法人で、この中には総額開示にとどめた法人もあった。橋下知事は今月、条例化の検討を指示。個別開示への同意を条件に公金投入する仕組みを想定しており、「法人側は猛反対するだろうが、府民の9割以上は賛成してくれる」と自信を見せているという。
府によると、対象法人の役員の個別報酬額は2000万円台~数百万円とみられ、府OBの天下りを受け入れているケースも多い。
役員報酬を巡っては、政府が5月に公益法人を対象に行った事業仕分けでは天下り役員への高額報酬が問題視された。一方、金融庁は2010年3月期から上場企業に対して報酬が年1億円以上に上る役員の氏名や金額を開示するよう義務づけたが、プライバシー保護の点で課題も多い。