電気屋ではありませんが、昔よく無線機の修理をやってました。よく壊れていたのが、終段のトランジスタとか電源部のダイオードや抵抗とか、破裂していたコンデンサとかでしたので、部品を特定して日本橋に買いに行って取り替えてました。半田を溶かして吸い取って部品を外し、新しい部品を取り付けて半田付けする、それだけの作業です。当時はそういう商品も手作りでしたので、半田を剥がしたりするのも楽でした。また手作業だったために、半田が浮いている部分もあったりしたので、電源を入れた状態で、基板のあちこちを押したりしていると、半田不良のところが分かったりして、そこを手直ししていました。
故障する場合には、ある部品が壊れるってのが多いわけですから、その部品を交換すれば直ることがあります。ところが、その部品が壊れた原因が、別の部品などが悪い場合もあるわけです。不具合のある部品を取り替えても、元々の原因を直しておかないとまた故障します。車のヒューズが切れて交換しても、そのヒューズに繋がる部品が悪い場合にはまた切れてしまうことがあるのですが、それに似ていますね。
でも、今では基板の集積度が上がったり、部品自体の入手が困難になっていますので、そうやって部品だけを交換して直せるということがかなり難しくなっています。
何年も前パソコンが良く売れ始めたころ、よく不具合のパソコンを見に行ったことがあります。一応フタを開けてみて、ケーブルの取り付けをし直して直ったことが結構沢山ありました。有名メーカーのパソコンでもハードディスクのフラットケーブルの差込不良とか、増設ボードの接触不良とかが結構あったのです。マックの場合は、結構有名な話ですが、マザーボード上にp-ram保持用のアルカリ電池が入っていたのですが、電圧が落ちてくると電源を入れても起動しなくなります。アップルの正式なサポート窓口でも、当時はそれに気付かず、起動しなくなったら、マザーボードを交換していました。当時30~50万もしていたマックでしたので、修理代も相当なものでした。小指の先程度のほぼ単五電池の大きさのもので、マックユーザーは相当な損をしていた訳です。今のパソコンにもp-ram保持用のコイン電池が入っていますが、それが消耗すると起動不良を起こしたり、設定値を忘れてしまったりします。時計が狂うこともあります。当然ロジックボード上にありますので、ロジックボードを交換したら直りますので、それを交換されてしまった方も結構居られると思います。
どんな機械も故障する、不具合を起こす、ところが機械ってそんなに簡単に壊れるものではないというのも事実です。素人作業が許されたのは何年も前の機械までだったかも知れませんが、色々とチェックすると、ホンのちょっとしたことで直ってしまうことが沢山あります。パソコンの場合はソフトウエアの不具合や周辺機器の接続だけで起動しなかったり、フリーズしたりすることがあります。それをよく知っていてサッと対応してくれる販売店があればいいのですけど、多くの人が値段だけで販売店を選び、少しでも安いお店に集中して、そういう職人のような人がやっている販売店が段々なくなってきています。kakaku.com等で最安値を簡単に見つけられるようになって、大きな量販店で価格優先で購入して得したと思っているのと裏腹で、何かもっと大切なものを無くしているのに気付いてないのかも知れませんね。
大きなショッピングセンターができて、商店街が無くなったのと同じですね。魚はトレーに切り身で乗っているものは便利ですが、魚屋さんの前で魚を相談しながら選んで、調理法を尋ねたり、世間話までして帰るというものを多くの人が捨ててきたのでしょうね。
ある人がBSチューナー付きのDVDレコーダーが映らなくなったと販売店に相談したら、故障だろうってことで、新しいのを勧められました。見に行ったら、パソコンを買った後で分配器に刺さっているアンテナ線を入れ替えたので、コンバータ電源が供給されなくなっただけでした。サポートセンターがしっかりしていたら、この人はサポートセンターでちゃんと相談できたでしょうし、販売店の人ももうちょっと詳しかったら、そんなことも想像できて対応できたでしょう。そして、出張点検が無料だったら、気軽に見に来てもらえたことでしょう。何より、その人が相談するときに、映らなくなった直前にアンテナ線を触ったことを認識していたら、コンバータ電源について想像できたでしょう。
そのパソコン、ホントに基板交換が必要ですか? ってのも答えになり得ます。