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【法律論争の大好きな方へのご質問】

会社は、『「株主」のもの』という前提で、「会社法」ならびにその実務は動いていますが
短期保有で短期的な利益を求める「株主」の
ために経営することは正しいと思いますか。

昨今の派遣切り、ワーキングプワ問題は、この前提が行き過ぎてしまったことが、原因だと思うのですが。皆さんは如何、お考えでしょうか。

立場を明確化して、ご回答を頂けると幸いです。

  • 質問者:hide
  • 質問日時:2009-02-10 00:27:58
  • 0

回答してくれたみんなへのお礼

丁寧なご回答頂き、御礼を申し上げます。

お・・・またhideさんのご質問だ。こんにちは。
会社法には詳しくないんですが、この種の法律議論って好きなほうなので、参加します。

私の個人的な見解としては、その経営姿勢は正しくない・・・というか「アホじゃ」と思ってます。
ただ、短期の投機目的の株主サマにも、持ち株分だけの決議権があります。株主であることにおいて、長期保有者か短期保有者かは関係ないというのが法律のスタンスですから、意識せざるを得ない・・・ということですよね。
そういう株主を排除したいということであるならば、上場・公開をしなければ良いのですが、資本規模がデカくなりすぎてしまって、どうにもならなくなっているのでしょう。コントロールしきれないほどの巨大資本にしてしまったという、経営判断の誤りだと思います。
黒船襲来に対抗できる力を持たねば・・・という風潮があったので、やむを得ないことだったのかもしれませんが、身の丈にあった経営の仕方というものはある筈だと思うので、そこの見極めができなかった経営者の能力不足と言えます。

法律の性格上、労働者保護という観点が欠落してしまっているのは仕方ないかな。
そちらを保護するために、労働法があるわけですしね。
ただ、商法・会社法と、労働法には当然に矛盾が生まれますよね。
私は、これは立法の不備だと思います。
恐らくhideさんのほうが、法律学をちゃんと勉強していると思うので、釈迦に説法なのかもしれないんだけど・・・
商法や会社法は、民法という一般法の下に存在する特別法だと思ってます。
労働法の位置づけは・・・これはよくわかんないんですが、憲法のすぐ下に位置づけられている一般法なんじゃないかな、と思うんです。そうなると、民法と同列なわけですから、一般法の下に位置づけられた商法・会社法より上位の法律ではないかと感じます(あくまで感じるだけ)。
ところが、現実の力関係では、労働者のほうが圧倒的に弱い立場であって、法的に上位にある労働法が軽んじられている・・・。
ここに、矛盾というか、法律上の不備を感じます。

会社の「成長」による「配当」を長期的に望む、本来の株主にとっては、誠に憎々しい機関投資家の存在ですが、経済活動に「投機目的」を禁じる理由がない以上、どうにもなりません。コントロール可能なうちに、上場・公開をやめちゃうしかないです。その決断ができない経営者を使っているのであれば、合法的にクビを切るか、資本を引き上げる・・・こうした自己防衛をすればいいんじゃないかな。

===補足===
あらら・・・私のような素人の話をベストに選んでいただくなんて、光栄でございます。
更に、ご丁寧、かつ専門的なコメントまでいただきまして、恐縮です。
hideさんの正体(?)を知らず、こんな回答をしてしまって、結構恥ずかしいですね。
私の場合、しがないサラリーマンなんですけど、昨年11月頃からのリーマンショック以降の景況感の悪化による業績の悪化が報道されてからこっち、色々と考えちゃってまして。
安直な派遣切りをはじめとする雇用の削減・・・小売業で働く現場の責任者として、こういう雇用の現状を目の当たりにしますと、さすがに考えちゃうんです。このSoodaでも、派遣切りやリストラについての「どうなのよ?」という議論がさかんでした。景況感がこれほど悪化する前と後では、ニュアンスが結構違ってたりするんですけどね。
で、話しを元に戻しますと、私は近年の流行になった「コンプライアンス」という言葉と、「ステークホルダー」って言葉を、履き違えておられる経営者に対して、「都合のいい解釈ばっかしやがって・・・」と、苦々しく思っている者なので、その分野の専門家の方が、こういうスレッドを立ててくださって、ちょっと嬉しいです。
難しいことはよくわかんないんだけど、何か今の風潮ってご都合主義の法律解釈がまかり通っていて、それそれの法律の立法主旨の本質的なモノをを履き違えているんじゃないかな、と・・・リストラで非情にも切られてしまった方々とお話しする機会があるたびに思っちゃいます。法律整備だけで解決する問題だとも思えませんけど、現場で汗を流しながらも貧乏しちゃってる人々の現実を、立法者は実感すべきだと思いますね。

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とても参考になり、非常に満足しました。回答ありがとうございました。
お礼コメント

「から元気」様、お付き合い御礼申し上げます。
実は、小生、商法関連の法学修士を取得していますので、この法的論点は専門的な立場から意見を述べることが可能な領域です。
学問的な整理をすると、東京大学の神田秀樹教授 及び 東大の経済学者 が中心に議論された「会社法の経済学」という論文集が、現状の商法(会社法)における哲学を支配しているのではないかと考えます。
ただ、この「会社法の経済学」は、実は存在しえない「完全な資本市場」という「企業金融論」という前提を基礎に書かれております。
別に、小生は証券アナリスト資格を有していますので、その立場から解説すると「完全な資本市場」は「市場参加者全員が同じ情報を持っていて」「同一の執行条件で対象金融商品の売買をできる」等の無理な前提を置いています。
(更に、昨今、サブプライム等の問題が生じた出発点は、この絶対にありえない「完全な資本市場」議論を前提に、金融工学という名前の「高等数学のうち、確率統計論の暴走」が発生させたものではないかと考えています。)
多くの「会社法」の研究者は、この重大な問題点を何ら批議することなく、所与の前提として議論しているんですよね。
このため、「労働法」と「会社法」との整合性などという、単純な経済合理性では説明できない領域の議論がなされていないがため、単純に首切りが発生するという社会問題が発生するのではと考えております。

今回も、小生の法律論議にお付き合い頂き、どうもお付き合いありがとうございました。

並び替え:

株主に利益の還元を行わなければ、その会社の株を買う者は居なくなると思う。株で資金調達出来なければ、事業の規模を縮小することにもなり、雇える従業員も減少する。株式の保有が短期か長期かは、市場で自由に売買される以上仕方がない。もし長期保有する者のみ売買できるようにしたら、やはり買う者は減るので株価が低くなり、調達できる資金が減ると思う。

株主が優遇されていると言うのならば、従業員(派遣社員も含め)それぞれで一定以上の株券を保有すれば良いのでは? 従業員全体が大株主ならば、それなりに経営に発言権があるので、不当と思える解雇は減ると思う。

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テクニカルには、「MBO」という金融手法が問題解決の起点になるのでしょうか。

「(MBO)=(Management Buyout)の略、邦訳は(経営陣買収)」の仔細はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の以下のアドレスを参考にして下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88

ただ、私も金融実務家なので、「MBO」という金融手法はかなり高度な金融手法なので、今、起きている大企業の派遣切りという問題への対応には、資金量が足りないという現実を直視し、別な角度で保護が必要なのではないかというのが実感です。

欧米の投資家が考え出した理論を
「もっともだ!」と自分の理屈に切り替えただけでしょうね。

会社は利益の追求にあることは事実ですが
まず、社会に役立つ理念があって
次に利益を生むための人で構成されて
生み出される利益の手助けをするのが株主でしょうね。

  • 回答者:満月 (質問から10時間後)
  • 1
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ご回答頂き、御礼申し上げます。

実は、小生、商法関連の法学修士を取得していますので、この法的論点は専門的な立場から意見を述べることが可能な領域です。
学問的な整理をすると、東京大学の神田秀樹教授が中心になされた「会社法の経済学」とい「う論文集が、現状の商法(会社法)における哲学を支配しているのではないかと考えます。
ただ、この「会社法の経済学」は、実は存在しえない「完全な資本市場」という「企業金融論」という前提を基礎に書かれております。別に、小生は証券アナリスト資格を有していますので、その立場から解説すると「完全な資本市場」は「市場参加者全員が同じ情報を持っていて」「同一の執行条件で対象金融商品の売買をできる」等の無理な前提を置いています。
(更に、昨今、サブプライム等の問題が生じた出発点は、この絶対にありえない「完全な資本市場」議論を前提に、金融工学という名前の「高等数学のうち、確率統計論の暴走」が発生させたものではないかと考えています。)
多くの「会社法」の研究者は、この重大な問題点を何ら批議することなく、所与の前提として議論しているんですよね。
このため、「労働法」と「会社法」との整合性などという、単純な経済合理性では説明できない領域の議論がなされていないがため、単純に首切りが発生するという社会問題が発生するのではと考えております。

今回も、小生の法律論議にお付き合い頂き、どうもお付き合いありがとうございました。

会社法の成り立ちなどに詳しくはないのですが、この法律は株主への信頼に基づいて作られた気がします。
より正確にいうと、株主も会社の企業価値をあげることを望んでおり、会社にとって不利益なことをするはずがないという前提に立っているような気がします。
なので、最近増えてきた短期的な利益を求めて、例えば極端なリストラや会社資産の売却などで、表面的な業績だけをあげることを求めるような株主の存在を想定していない気がします。
これは経済全体の健全な成長を逆に阻害する可能性が高いと思うので、なんらかの規制があってもいいような気がします。

ただ、派遣切りとかワーキングプアの問題は、会社というのは自立的に利益を求めるものなので、この問題とは直接リンクしていないと思います。

  • 回答者:自由業です (質問から56分後)
  • 2
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参考になり、満足しました。回答ありがとうございました。
お礼コメント

早速、ご回答頂き、御礼申し上げます。
実は、小生はW大 法学研究科の修士修了(専攻は、会社法・証券取引法)です。

商法という法律は、所謂「法哲学」という領域から、非常に遠く、理念よりも経済合理性のみを優先してきたという法律です。

早速、頂いた丁寧なご回答に対する反論として、労働者保護という観点が全く欠落しているという事実、この観点でご議論を頂けると幸いです。

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