時代劇はエンターテイメントで、フィクションだと思っています。
大きな事件をあからさまに入れ替えたりするのには賛成しかねますが
物語として面白く成立していれば「良し」としています。
少し位、時代考証がおかしなものがあった方が、突っ込めて家庭での話題も
増えますし。
江戸の成人男性の平均身長は160cmありません。女性も150cm以下です。
今の俳優さんたちの平均身長を考えれば、これだけで、実際の映像化は
かなりハードルが高くなります。
既婚女性の眉落ち・鉄漿の話は既出ですが、既婚女性だけでなく戦国武将の間
ではお化粧は珍しいことではありませんでした。当時のたしなみとして普通のこと
だったという説もかなり有力です。
でも我々が抱いている武将に対してのイメージを崩し、それが良いこととは思えません。
日本ものの時代劇ではありませんが
スコットランドの英雄、ウィリアム・ウォレスを描いた歴史劇『ブレイブハート』は
明らかに歴史考証を無視した作り方をしています。
ウォレスと心を通じ合わせるイングランド皇太子妃イザベラを登場させていますが
彼女がイングランドに嫁いできたのは、ウォレスの死の3年後のことで
しかも婚姻時、夫となるエドワード2世は既に国王で皇太子ではありません。
しかし、映画としての完成度は高く、アカデミー作品賞をはじめ数々の賞を獲得して
います。イザベラの存在はこの映画になくてはならないものだと私も思っています。
大切なことは大人たちが次世代の若者が混乱しないよう
「エンターテイメントと歴史的事実は異なるのだ」と教えていくことだと思います。