乱歩賞でデビューして以来のファンですので、いっぱい好きな作品がありますので、いくつか挙げさせていただこうと思います。
「天空の蜂」
原子力発電所を舞台にしたサスペンス作品です。私の中ではベスト3に入る作品です。
男性の読者向けだと思います。原発やヘリコプターについての専門的な取材をかなりしたのだと思えます、無論、それは物語のリアリティを深めるための要素に過ぎず、作者がこの小説で読者に語りかけたいことが、作中の様々な立場の登場人物によって語られています。直木賞作家となった東野氏ですが、この作品あたりからその片鱗を伺えると思います。
「さまよう刃」
近年の作品の中で一番好きな作品。直木賞受賞後の作品だと思います。
重いテーマです。しかし、ちょっとした運命の悪戯で、私自身も登場人物のような立場になり得るのだ・・・・ということを語りかける作品だと思います。
これは映画化されるそうで、主人公を寺尾聡が演じるとのこと。なかなか楽しみな作品ですね。
「分身」
結構古い作品。質問者様が女性でしたら、イチ押ししたいですね。
主人公は2人の若い女性です。生まれも、育ちも異なり、それぞれの両親も異なります。でも、その2人は全く同じ顔を持っていました。
(これ以上はネタバレになりそうなので、控えさせていただきます)
・・・・この作品も、かなり重いテーマが横たわっています。
私は男性ですが、主人公の女性に、十分感情移入できました。
===補足===
ご丁寧なコメントをつけていただいてありがとうございました。
「天空の蜂」を佐藤浩市主演で映画化して欲しい、というご意見には激しく同意です。
この夏、「官僚たちの夏」で主演されている佐藤氏の演技の記憶が新しいので、「なるほど」と思いました。
どうやら好みの作品の傾向が似通っているみたいで嬉しいですね。
ここで挙げた作品以外ですと、「レイクサイド」「ゲームの名は誘拐」などが好みの作品です。ともにミステリの範疇に入る作品だとは思いますが、ガチガチの本格というよりは、ちょっと肩の力は抜いているんだけど、「キレ味の良い謎がピリッと効いている」って感じの作風が好みです。