国家を維持するために出産する、というのは根本的に間違っています。
子供を生む・生まない理由は、個人の考え方に拠ります。たとえば、子供がいれば、親と子で教えたり教えられたりして両方の人生に深み・面白みが出てくると思うから(子供を作る場合)、子供がいなくても夫婦で限られた「自分たちの生」を目一杯楽しむほうが重要(子供を作らない場合)、などの各家庭の考え方によるべきです。
子供を生めば金銭的に儲かる的な発想は安直過ぎです。
少子化対策を考えるのなら、子供手当てのような「直接子供が益を享受しない」バラマキはやめるべきです。それよりも、出産費の無料化、妊婦・乳幼児の緊急医療体制の拡充、保育所の整備、乳幼児用の医薬品・離乳食の低廉化・無税化、小中学校の教育体制(教員数・教師の心のケア・子供を持つ親への教育/指導など)、に金と手間を注ぎ込むべきです。
また、少子高齢化対策と声高に叫ぶ人がほとんどですが、個人的にはこれに対しても若干疑問符を持っています。単純に、「子供が減って高齢者が増えると、社会保障で現役世代や高齢者を支えきれなくなる。なので、支える側の頭数(=子供)を増やそう」という発想だと思いますが、それが最善の策とも思いません(悪い策とも思いませんが)。
たとえば、一人当たりのGDPを増やせば、現役世代の人数が減少したとしても、社会は維持可能です。資源のない日本がどうやって一人当たりのGDPを増やせるかですが、原料がいらない産業はいくらでもあります。
たとえば、以下のような産業があります。
・金融業(今、世の中的には金融業が叩かれていますが、お金を高度にコントロールするのは知的なビジネスだと思います。当然、当局の監視や業界のモラルも必要でしょうが)
・観光(日本は、狭い国土ながら名所は多いと思います)
・コンテンツ産業(アニメや漫画ばかり注目されていますが、音楽や邦画、文学なども、世界で通用するコンテンツ分野があると思います)
・知的財産(これこそ、紙と鉛筆で世界中からロイヤルティ収入が入ります。核融合発電の実用化技術の基本特許を日本が取得すれば、産油国の収入よりもずっと多い金が入ってくるでしょう)
・高等教育の充実(世界トップクラスの研究機関が日本に多数あれば、世界中から日本に留学してきます。留学生人口の分、国内消費は増えるし、何より世界の頭脳とその成果が日本に集結することは、日本の未来にプラスに働くでしょう)
話がだいぶそれましたが、「子供手当て=少子高齢化対策」、という単純な話ではありません。その辺に気づいている人がどれくらいいるのか、と心配しています。