麻の種にはいわゆる「麻薬成分」がなくて、葉にだけ成分が集中します。
日本には昔から麻の実を食べる習慣があって、今でも七味唐辛子等には
ふつうに入っていますね。鳥の餌としても伝統的に使われています。
また、麻の繊維製品も国産されてますので、種の販売・所持までは合法です。
七味唐辛子を使っても逮捕されないのは、餌を含む食品はすべて加熱処理して
発芽しない状態のものを使用することになっているからです。食用種の輸入も
加熱処理していればOKです。
麻の栽培農家は、正式な栽培許可(免許)を得て栽培しています。
大麻の禁止に該当するのは「葉」だけで、茎・葉・茎等を使用した製品(麻製品)と
種は、規制対象外です。この種の規定が問題で、食用なら非加熱は輸入禁止ですが、
観賞用という分野が、法律にはないんです。だから、観賞用としての輸入は、法律では
禁止することができません。栽培したら罪になりますが、「種を鑑賞する」目的なら、
違法性がないことになります。
種の所持と販売までは、文化的背景もあってセーフラインです。
栽培からが、正式な免許がないとできないことになっています。
正式に栽培されているのはほとんどが栃木県で、トチギシロという
種を使用しています。この種はいわゆる「麻薬」の成分がほとんどない
品種改良されたものです。にもかかわらず、それを知らない人たちが
収穫期になるとよく盗みに来ます。
(トチギシロは、免許があっても種を含めて県外持ち出し禁止です)
落とし穴といえば落とし穴ですが、種の所持自体を禁止してしまうと、
日本の伝統文化にも影響があります。
また、文化を犠牲にしてまでも撲滅しないといけないほど、危険度が
高くないというのも理由にあるでしょう。
アルコールやタバコのほうが体にも悪いし依存性も高いのですが、
こちらは成人であれば摂取が違法ではないのも、文化的背景と
政治的問題が大きく影響しているはずです。
世界的には、ヨーロッパ圏ではハードドラッグ(覚醒剤等)への
防波堤として、タバコよりも害が少ない大麻の個人所持・使用や、国によっては
公的な場所での販売に、前向きに接しているところが多いです。
半合法化・あるいは合法化することによって、マフィア等の資金源になることを
避けることと、依存性の高いハードドラッグに手を出す人を少なくする目的です。
(実際、オランダでは公認にした結果、ハードドラッグ使用者が激減しました)
また、医療用としての使用には、アメリカと日本以外ではけっこう積極的です。
処方箋があれば薬局で大麻を買える国も、多くあります。
宗教的には、一般人の摂取は、イスラム教圏では絶対禁止(国によっては死刑)ですが、
大麻自体は神聖な神の草として、宗教的には大切な存在です。
大麻はタバコ以前から宗教的儀式に多く使われてきた植物ですので、
法律的には一応禁止だけれど、宗教的使用に限って容認しているところは
イスラム圏以外でも多いです。アメリカでも禁止されていますが、ネイティブ
アメリカンの宗教儀式の使用については合法とされている州が多いです。
日本では大事件扱いですけれど、世界的に見ると、大麻所持=厳罰(実刑有)というのは
ごく少数派だと思ってください。だから法律を破っていいというわけではないですが、
先進国として厳しく対応できる限界が、日本の法律程度だと考えるといいかもしれないです。
法的には、ハードドラッグ乱用を防ぐために規制を厳しめにして、大麻程度で満足させて
おくのも、薬物乱用防止の手法の一つだと思います。
医療用麻薬としては、モルヒネ等よりも依存性が少ないんで、もっと積極利用を
考えるべきだと思いますね。